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会社に何を残したいですか?〜あるシニアマネージャーの自己変革

こんにちは。
Life Traverseチーフコーチの黒岩です。
ブログを読んでいただき
ありがとうございます。

これまで
トップダウン型の組織で生きて来て、
いざ管理職になったら
コーチング型マネジメントをせよ、
と言われたら、誰もが戸惑いますよね。

特に、50代後半の方にとっては
やり方がわからない以前に、
納得ができないという感覚が
芽生えるのも理解できます。

自身の定年が見えてきている中で、
今更何かを変えるのは難しい、
それが正直なところかもしれません。

今回は、そんなキャリアを積んだ
シニアマネージャーに
コーチングをした事例を書いてみます。

トップが変わると、組織も変わる。

私自身もコーチングの力を改めて、
まざまざと見せつけられたエピソードです。

このシニアマネージャーさん
(Aさんとします)の会社について、
少し説明します。

ある全国組織の大手企業で、
近年業績の低迷が著しい。
それに関連して、
社員のモチベーションが
とても低い状況です。

そんな中、会社はコーチングで
組織風土を変えていこうと、
マネージャークラスにコーチングを
導入していくことを決めました。

自分のスタンスを変える

Aさんは当初、
コーチングに懐疑的でした。
私との初めてのセッションの時も
警戒していましたし、
事前の課題提出にも消極的でした。

ご自身は、
上位下達の文化で
育てられたそうです。

自分が100名以上を
管掌する立場になった時に、
部下が自分の指示だけ
聞いていればいいと思ったし、
従わない部下は評価を
下げていました。

もっと言うと、
好き嫌いで部下を評価していました。

一方で、
自身の人生を捧げた会社が
低迷している中、
自分が何をすべきか迷っていました。

昔の活気のある職場を
懐かしんでいる、
そんな思いが言葉の端々に
見られました。

私はコーチングセッションで、
彼の信念や自負だけでなく、
葛藤や迷いにも耳を傾けました。

そして、現状をどうにかしたいという
彼の真摯な思いを受け止め、
承認していきました。

そこからは、
変化が速かったです。

話をじっくり聞いてもらい、
存在をポジティブに認められると、
自身の活力が上がってくるのを
実感したそうです。

昔のように、
現場の社員が意見を言い合う
職場を再構築するために、
自分は何ができるだろう?

コーチングのような関わりを
部下にしてみたら、
職場はどう変わるのだろうか?

Aさんの挑戦がはじまりました。

部下との関わり方を変える

そこからAさんは、
自分が担当する拠点を
まわり始めます。

ミドルマネージャーへの1on1で、
自分が出向いて直接対話します。

また、現場社員にも
自分から話しかけて、
積極的にコミュニケーションを
取り始めました。

最初はコワモテのAさんが
いきなり話しかけてくるので、
戸惑った社員も多かったようです。

それでもにこやかに、
雑談から入っていくことで、
打ち解けていきました。

Aさんの会話を続けるコツは、
相手にテーマを選ばせること
だそうです。

「最近調子はどう?」

とか

「なんかいいことあった?」

とあえて抽象的な質問をすることで、
相手の興味ある話題を話してもらう。

それがプライベートでも
仕事でもいい。

とにかくじっくり聞いてあげる。
自分の意見は極力言わない。
それを徹底していきました。

プライベートの話の方が、
距離感が近くなるので
有効みたいですが、
そこもあえて誘導しないように
していたそうです。

結果的に
プライベートの話題になったら
ラッキー!というスタンスで。

組織が元気に動き出していく

コツを掴んだAさんは、
特に雰囲気の悪い拠点を
集中的にまわりました。

ある拠点に目をつけると、
そこのマネジャーだけでなく、
リーダークラスの話も聞き、
彼らの意向を汲み取っていきます。

なにしろ、シニアマネージャーが
なんでも話を聞いてくれるので、
安心して意見を出し合えます。

2ヶ月ほどで、
急にその職場に活気が
みなぎってきたそうです。

その職場に入ると、
たくさんの会話、
笑い声が聞こえてくる。

それは明らかに、
数か月前の姿とは異なる、
輝いている職場に変わっていたと。

味をしめたAさんは、
この手法を他の拠点にも
転用していきます。

こうして一つ一つ、
空気を変えていきました。

中にはどうしても
心を開いてくれない
拠点長がいたそうです。

原因は、この部下を過去に
厳しく叱責したことが
あったことだと気づきました。

ここも、あきらめずに通い、
業務以外の話をきくことを
徹底しました。

じっくり耳を傾けることで
関係性を変わっていったそうです。

そして、職場の活力が上がれば、
自主自律の社員が増えていきます。

この会社はまだ
組織風土改革の途上ですが、
Aさんのような
シニアマネージャーが増えれば
間違いなく会社が変わり、
成果に結びつくと確信できます。

会社に何を残したいですか?

コーチングセッションで、
Aさんに質問したことがあります。

Aさんは、しばらく考えたのち、
こう答えました。

「仕事することが楽しいと思える職場」

自分の残された時間の中で、
できることに集中する。

その結果、
職場になにか残せることができたら、
それは幸せな会社人生なのでは?

定年間際の社員が
自分を変える。

それはシニアマネージャーでなくとも、
組織へのインパクトが強そうですよね。

and, the trail continues.

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photo by TAKAO JINBO