部下ががんになったら、まずどんな言葉をかけますか?~「コト」ではなく、「ヒト」に焦点をあてるコミュニケーション
2022/11/18
コーチングコミュニケーション
こんにちは。LifeTraverseチーフコーチの黒岩です。ブログを読んでいただきありがとうございます。
みなさんは、部下や同僚から
「がんになった」と告げられたら、
まず何と答えますか?
その人がどんな心理状態か、
どんな気持ちでその言葉を自分に発したのか。
「がん」
という事実に着目してしまいがちですが、
その裏にある気持ちや感情に
どこまで意識を向けられるか?
今回はそんなお話を書いてみます。
仕事では、「コト」だけに焦点をあてがち
普段職場では、
起こっている現象や見えている事象、
つまり数字や課題などに向き合うことが
多いと思います。
それは「事柄=コト」に
対処していると言えます。
仕事なので、成果を出すためには当然
「コト」にあたらなければいけません。
一方で、地上に見えている「コト」の地中には、
それを成り立たせている感情や価値観などの
心の部分=「ヒト」が
根を張っています。
「ヒト」を掘り起こしてみることで、
「コト」の意味付けが大きく変わってきます。
コーチングでは、
この「ヒト」に焦点をあてる
コミュニケーションを重要視しています。
相手の言葉に裏に、
どんな気持ちが隠れているか?
それを意識するだけで、
職場での関係性がずいぶん良くなるはずです。
言葉の裏にある気持ち=「ヒト」を考える
例えば、
職場のコピー機がうまく動作せず、
あなたがフロアを行き来している時に、
部下から「コピー機の調子悪いんですか?」
と声をかけられたとします。
イライラしているあなたは思わず
「見ればわかるでしょ」と答える。
この場合、実は部下の言葉の裏には
「お手伝いしましょうか」
という気持ちがあったかもしれない。
ですが、あなたのぞんざいな対応に、
部下は声をかけたことを後悔し、
二度とこの人の手助けはしないと
決心してしまうかもしれません。
同様に、部下から
「子どもができました」
と告げられたら?
すぐに休暇や時短のことを
考えてしまいがちです。
もっというと、
部下の休みの間の担務やシフトのことに
頭がいってしまうかもしれません。
でも、
その部下は本当にそれを望んでいるのか。
産休・育休中に
自分の仕事やポジションがなくなることを
不安に思っている可能性もあるのです。
電通での調査「部下ががんになったら?」
自分ががんであることを伝えた時、
上司に言われて一番うれしかったことは何か?
そんな調査を電通が行っています。
みなさんが上司なら、
まずどんな言葉をかけますか?
「なにがん?」
「どこの病院にいっている?」
「治療法は?」
人は、課題が大きければ大きいほど、
その課題そのものについて
言及してしまいます。
この場合は「がん」という病気が
「課題」になります。
そしてその「課題」の「解決」について
アドバイスしなきゃと考えてしまいます。
自分が上司である場合は特に、
それを求められていると思ってしまいます。
「いい医者を知っているよ」
「いまはよい抗がん剤がある」
「昔より生存確率も高いから、大丈夫」
「克服した知り合いを紹介してあげる」
でもその人は、
あなたにがんになったことを伝えるまでに、
もう充分その課題に向き合ってきたし、
戦ってきたはずです。
いまさらあなたに課題解決方法を
求めているのでしょうか?
もちろん、良かれと思い相手が心配だから
「課題」に対して自分ができることはなにか?
を考えると思います。
でもそのまえに、
その「課題」と向き合っている相手の
「気持ち」に焦点をあててみましょう。
どんな気持ちで、
どんな恐怖や不安を抱えて
そこに立っているのか?
さて、電通の調査結果です。
上司に言われて一番うれしかった言葉は、
「話してくれてありがとう」
だそうです。
「がん」という重い事実を、
上司の自分に話してくれた。
こんなこと言っていいのかな?
話したら負担に思わないかな?
そんな葛藤もあったかもしれません。
それを乗り越えて、
自分に告げてくれたその気持ちを
まず認めて感謝することが、
部下の心を一気に楽にさせるのです。
「コト」ではなく
「ヒト」に焦点をあてた
コミュニケーション、
いかがでしたでしょうか?
みなさんもぜひ実践してみてください。
同僚や部下との距離が、
ぐっと近づくはずです。
and, the trail continues.