243 ビュー

Blog ブログ

部下に自己ビジョンを求めすぎるのはNG?1on1で気をつけたい「WILLハラスメント」

こんにちは。
LifeTraverseチーフコーチの黒岩です。
ブログを読んでいただきありがとうございます。

部下とのキャリア面談では、
5年後や10年後のビジョンを聞くことがありますよね。

どうなりたい?どうありたい?

そんな質問が、
部下にとっては負担になっているかもしれません。

私は前職で、
社内コーチとしてキャリア面談・研修を
年間200人に実施してきました。
またプロコーチとして独立した後も、
キャリアセッションを年間100時間以上実施しています。

その中で「WILLハラスメント」という言葉をききました。
ありたい姿=WILLを聞きすぎることで
発生する部下とのコンフリクトのことです。
今回は、その対処法について書いてみます。

ありたい姿って、必要? 

部下との1on1では、
キャリアビジョン=ありたい姿を
確認することが大事だと前回ブログで書きました。

そして、これをしっかり描いている部下は
結構少ないということも書きましたね。

(過去ブログはこちら

もちろん、
めざすところが明確な方が、
いまどんな行動をとるべきか
判断しやすくなります。

ただし、
そこが描けないとこの話題を避ける、
もしくはビジョンなんてなくてもいいと
開きなおる人もいるかもしれません。

「ありたい姿、ないとだめですか?」

ビジョンを聞かれること自体が
プレッシャーとなり、
1on1への苦手意識が生まれる場合もあるようです。

「WILLハラスメント」
などと言われないように、
ビジョンがない部下との1on1を円滑に、
意味のある形で進めるには
どうすればよいでしょうか。

計画された偶発性

スタンフォード大学のクランボルツ博士は、
「計画された偶発性」という理論
(プランドハプスタンス理論)を提唱しました。

個人のキャリアの8割は、
偶然の出来事によって決定される、
というものです。

ここには、
将来のゴールを決めすぎなくていい
というメッセージが込められています。

注意したいのは、ただ偶然を
待っていればいいというわけではなく、
前向きに、柔軟に、目の前のことに
真剣に向き合っていれば
予想しない形でキャリアが
開かれていくという考え方です。

確かに、
子供のころに描いたとおりに
大人になる人は多くありません。

様々な偶然の出来事や出会いによって
キャリアは変化しますし、
年齢を重ねると視野が広がり、
新しい地平が見えてきます。

その偶然やってくるチャンスに
しっかり乗るためにも、
今を真剣に、ポジティブに、積極的に
行動しながら生きることが
「計画された偶発性」理論の主眼です。

また
『トップ5%社員の時間術』
という本の中に、
トップ社員はあえてキャリアゴールを定めない、
という話がありました。

確かに変化の激しいこの時代に、
先を決めすぎると
柔軟なキャリア選択ができないと
考える人がいてもおかしくないですよね。

ビジョンを聞かれることが負担に思う社員は、
キャリアについて受動的になっているため、
このデキルトップ社員とはとらえ方が
異なるかもしれません。
描かないのではなく、
描けない人たちです。

近未来の理想の「状態」をきいてみる

では、
ビジョンが描けない部下との1on1は、
「今の仕事を真剣にやれ」
というメッセージを伝えればいいのでしょうか?

前回のブログで書いたように、
動機の源泉を深ぼることが有効ですが、
それでも難しい場合は、
あまり遠くない未来、
例えば半年後や1年後に
到達していたい「状態」を
きいてみることです。

「状態」というのは、
「存在」と言ってもいいかもしれません。

数値目標やタスク達成度などの
doingではなく、beingで捉えるものです。

例えば、
チームリーダーを任される、
スキルが増えている、
組織の新たなハブになっている、
などが「状態」になりますね。

そして、
その状態になったときに、
どんな気持ちになるかもセットで
聞いてみてください。

イメージがくっきりしてきますし、
本人の思考が整理されて
1on1の満足度も上がるはずです。

あなたの部下がWILLを描けない時は、
1年後に到達したい状態を聞いてみる。

それはありたい姿をみつける旅の、
最初の一歩になるはずです。

部下のためを思って一緒に考える姿勢であれば、
ハラスメントなんて言われないと思いますよ。

and, the trail continues.

一覧に戻る

Contact お問い合わせ

パーソナルコーチングトライアルセッション(5,500円)の
お申し込みはこちら

企業研修コーチについて、その他お問い合わせはこちら

photo by TAKAO JINBO